経団連と国公私立大学の代表者により構成される「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が2022年4月に公表した2021年度報告書では、インターンシップをはじめとした学生のキャリア形成支援における産学協働の取り組みに関する具体的検討を行っており、検討の視点として、以下の2点を指摘しています。

1点目は、自律的なキャリア形成とマッチングの重要性です。企業は多様な人材を求める観点から、採用・雇用の多様化・複線化を進め専門人材の採用や育成を重視する傾向にあることから、学生と仕事・職場のマッチングの重要性がより一層高まっています。

当面の課題としては、いかに就業体験を伴う質の高いインターンシップを実施していくか、インターンシップを核として、学生のキャリア形成を産学協働でいかに支援していくかという点があげられ、企業がより実務をベースとした質の高いインターンシップを実施するためには、学生を実際に受け入れる職場の理解・協力が不可欠であるとしています。

2点目は、学業とキャリア形成支援との両立です。学部生であれば3年が終わるまで、修士課程学生であれば1年が終わるまでは、学業や研究活動に専念することが重要です。その一方で、社会人になってからOJTを通じて能力等を鍛えても、グローバル・ビジネスで活躍する諸外国に太刀打ちできないとの危機感が産学で共有されています。こうした中、同報告書ではキャリア形成支援を学業との両立の観点を考慮しながら取り組むことの重要性を指摘しています。

以上のような視点を踏まえて、どのようにして学生の主体的なキャリア形成を支援できるかが問われているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)