新型コロナウイルスの経済活動へのインパクトも無視できないものになってきています。企業経営でも平常時モードから非常時モードへの切り替えが必要ではないかと思います。
 まず、平常時の企業経営から考えてみましょう。経営状態を判断する指標にはいくつかありますが、ここではROA(総資産利益率)と自己資本比率を取り上げます。
 ROA(総資産利益率)= R(当期純利益)/A(総資産)×100
 自己資本比率 = E(自己資本)/A(総資産)×100

 ROAと自己資本比率を高くするためには資産をどのようにすべきでしょうか。資産はROAでも自己資本比率でも分母にしか出てきません。資産が大きくなると、ROAも自己資本比率も低下します。経営効率という点では、分子が変わらないとすれば、資産は小さいほどいいのです。経営指標の向上を目標とするなら、資産を最小化しながら、利益を極大化することが求められます。そこで企業は資産のスリム化に知恵を絞ります。

 資産のスリム化で重要なのは在庫の圧縮です。在庫を持てば倉庫料がかかるし、資金も必要になり、金利負担がかさみます。同じ利益をあげられるなら、在庫は少ないに越したことはありません。そこで発達したのは小売業におけるPOSシステムや製造業におけるジャストインタイムシステムです。
 また、不必要に現金を保有するのも効率性に反します。この低金利時代、現金は利益を生まないのですから、収益拡大のための投資に使う以上の余剰現金があるなら、借入金などの負債を圧縮すべきですし、それでも余るなら配当や自社株買いなどの株主還元を求められます。

 在庫や現金などを圧縮すれば資産をスリム化できますから、ROAや自己資本比率が向上します。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)