4月4日、東京証券取引所の市場区分が60年ぶりに大きく再編されました。従来の区分は「東証1部」「2部」「マザーズ」「ジャスダック」の4つでしたが、これが「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つになりました。

 日本の証券市場は米国などと比べると、時価総額(株価×発行済株式数)や流動性が低い(市場に出回っている取引量が少なく、場合によってはリスクになる)企業が多くあります。投資家にとって、東証はより魅力的な市場になるよう、施策が必要と言われていました。

 とりわけ、東証1部はトヨタやソニーのような、日本を代表する優良企業が上場する市場と位置付けられていました。ところが、近年は東証1部上場企業の数が増え、必ずしも世界に誇れる企業ばかりではなくなっている点にも批判の声がありました。今回、最上位市場のブランド力を高めるため、東証1部に代わりプライムが誕生しました。

 プライムが名実ともにprime(優良の)市場となるために、具体的に実施したことの一つは基準を厳しくすることが挙げられます。従来、東証1部には、流通時価総額が10億円を下回ると2部へ降格という基準がありました。上場するときは原則250億円以上必要なのですが、一度上場したら多少株価が下がっても、10億円をキープしていれば1部にとどまることができました。こうした甘い基準が企業の価値向上への努力を怠らせているという批判もありました。

 そこで、プライムでは、時価総額が100億円を下回ると、上場廃止にするか、あるいはスタンダードやグロースへの上場手続きをしなければならないこととなりました。このほかにも、「流通株式比率」などの基準も厳しくなりました。狙い通りプライムが魅力的な市場になるのか、しばらく目が離せません。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)