4月4日、東京証券取引所の市場区分が60年ぶりに大きく再編され、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場になりました。
 東証の上場企業の中には、東証1部に上場する理由の一つに「社会的ステータスを得るため」という企業も少なくありません。たしかに、東証1部企業のほうが人材は集まりやすいのも事実ですし、社員にしてみたら東証1部企業に勤務することは家族に胸を張れる側面もあります。

 ただ、今回、市場が再編されてプライムができたことにより、プライム企業は最上位を維持するため、厳しい基準をクリアし続けなくてはなりません。その分、負荷がかかります。今回の再編は上場企業にとって、株式市場に上場することの意義を再度考える機会になったといえます。

 株式市場の役割とは何でしょうか。19世紀末、株式会社の骨格が形成された時代までさかのぼると、株式会社は投資家から資本を集めて大規模な工場を建て、大量生産により効率化を追求しました。株主が提供する資本(お金)は希少な資源で、投資家の資金提供があるから大きな工場を建てることが可能になり、結果、効率的に利益が得られるという形がありました。

 ただ、21世紀では、IT技術の発達により巨額の資本を集めることが容易になり、資本の重要性が相対的に低下しています。こうした流れの中、上場することに意味があるのか、と疑問を抱き、上場廃止を決める企業も現れています。今後、資本主義は新しい形を模索することが予想されますが、どのような形に進化していくのか、注目したいところです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)