では、小規模事業者においてSDGsの取り組みは具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編『小規模企業白書2021年版』においてSDGsに沿った新規事業に取り組んだ事例として取り上げられた、株式会社きぬのいえ(埼玉県、従業員数6名)の取り組みについてみていきましょう。

 株式会社きぬのいえは、独自の染色技術でスカーフ、のれん、バッグなど小物雑貨の製造・販売を行う企業です。同社は呉服裏地の産地問屋として創業した後、染色整理業へ事業転換しました。その後自社ブランドを立ち上げ、海外市場開拓などを実現してきたものの、売上げの7割を占めるOEMが減収傾向で伸び悩んでいたことから、新たな収益の柱の必要性を感じていました。

 こうした中、同社社長は、近年ファッション業界において大手を始め、SDGs達成への取組が主流となりつつあることを知り、自社でもSDGsの達成に貢献できる取り組みとして、サステナブルな新規事業を模索し始めました。

 同社は商工会主宰の事業者支援プログラムを活用しつつ商品開発のアイデアを練り、退色や黄ばみの出た衣類を再生する事業のアイデアを生み出しました。そして同社で古着の染め直しサービス「SOMA Re:(ソマリ)」をスタートさせました。既存事業の染め工程の遊休時間を活用することでリーズナブルな価格を実現し、1枚ずつ職人が丁寧に染め上げることで安心感と満足感も提供しました。

 「SOMA Re:」は顧客の環境意識に応えるユニークなビジネスとして、雑誌やテレビなどで取り上げられ、認知が広がり、開始から半年で売上げの5%を占めるまでになりました。

 このようにSDGsに沿った新規事業に取り組むことで、新たな事業の柱を構築することも可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)