世界的に脱炭素の流れが強まる今日、二酸化炭素を発しない太陽光発電の普及に期待が寄せられています。現在、太陽光発電の事業者の多くは、野原などに太陽光パネルを設置し、発電した電気を電力会社に売っています。国は買い取り制度を設けて、電力会社が一定期間、決まった価格で電気を買い取ることを約束しています。背景には、再生可能エネルギーによる発電を普及したいという政府の思惑があります。
太陽光発電事業の中でも、最近、参入者が増えているのが「第三者所有モデル」です。これは、事業を行う会社が利用者の屋根に太陽光パネルを無償で設置し、利用者に電気を売るというビジネスです。大手電力会社や住宅メーカー、リース会社などの参入が相次いでいます。
ただ、太陽光発電の場合、買い取り制度を利用すれば、発電事業者は確実に電気を買い取ってもらえます。にもかかわらず、なぜ、個人などに電気を売るのでしょうか。背景には、買い取り価格の低下があります。2012年は電気量が10kW以上の場合、1kWhあたり40円で買い取ってもらえました。ところが、2019年になると14円に、2020年は12円まで低下しています。
買い取り価格の低下に伴い利益率が下がる一方で、太陽光パネルなど、設備の価格が下がり、太陽光発電に要するコストはだいぶ低く抑えられるようになりました。現在では、買い取り制度を利用するよりも、一般の利用者に電気を売ったほうが、利益を大きく得られる時代となりました。こうしたことから、利用者の屋根を利用する「第三者所有モデル」に期待が集まるようになったのです。
太陽光発電で電気を自給自足できるようになれば、台風で断線が起きても停電で困ることはありません。災害対策という点でも、「第三者所有モデル」は有効です。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)