近年、環境問題への関心が高まり、企業はカーボンニュートラルをはじめ、環境問題への対策を講じることが求められるようになりました。とくに、株式市場では、ESG投資といって、環境対策など、社会が抱える課題に対して、しっかりと対策を打っている企業に投資しようという流れができています。
2020年のESG投資総額は35兆3千億ドルに達し、世界の機関投資家の全運用資産の3割超にもなっています。
その中、気候変動対策に熱心なふりをする企業、「グリーンウォッシュ」が問題になっています。グリーンウォッシュとは見せかけのESG対策をしている企業を指します。ドイツの運動靴会社では、「古くなった自社製品を回収して100%再生している」と公表していましたが、実際はアフリカで廃棄されていたことが発覚して、大きな問題になったことがあります。
また、ある企業は竹レーヨン製のシーツやタオルなど、自社商品について、「竹を使用しているので地球にやさしい商品だ」と強調していました。ところが実際は竹繊維を製造するときに有害な化学物質を使用することが明らかになります。また、製造過程では大気汚染物質を排出していることもわかり批判を受けることになった例もあります。
このように、環境負荷低減に貢献していると公表してはいるものの、実際は見せかけのケースが散見されています。先の企業のように、環境にやさしい原材料を使用する一方で、大気汚染という「負」を増やしている場合もあります。こうしたグリーンウォッシュが問題になる中、本当に環境に良いのか、プラスの部分と、マイナスの部分、両方を適切に把握し、評価することの大切さが求められています。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)