現在はアベノミクス以来、未曽有の量的金融緩和が続き、巷にマネーがあふれている状況です。マネーは貸出に回り、経済を活性化させることが金融緩和の本来の目的ですが、それ以上のマネー量が供給され、株式市場に資金が向かいやすい状況です。それに加えて、日銀やGPIF(年金積立金管理運用特別法人)の買いもありますから、現在は金融相場の状況にあり、その結果、企業業績との違和感が生じる株価が形成されているのではないかと私は考えています。

しかし、金融相場は永遠に続くわけにはいきません。どこかで企業業績に見合った株価になるはずです。実態経済と乖離した株価はバブルといわれます。実体経済と乖離していても、バブルではない場合もあります。それは確かに現在の企業業績は悪いのですが、将来の業績回復を見込んでいるから、高い株価が維持できているのだという見方もできるからです。企業がコロナ禍を乗り越えて、業績を回復できれば、株価はそのまま維持できるでしょうが、コロナ禍を克服できなければ、株価の調整がどこかで起こると考えられます。

株価形成には多様な見方があり、それぞれの見解があって当然ですから、どれが正解ということはありません。ただ、業績相場か金融相場かということは株価を見る上で、常に必要な視点だと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)