株価は上場企業の業績に直接連動するように思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。今回は株価と企業実態との間に往々にして生じる違和感について考えてみたいと思います。
株価がどのように決まるかには諸説ありますが、代表的なものとして以下の二つが挙げられます。
一つは、株価は株式を発行している企業の業績により決まるというものです。業績といっても株価を決めるのは過去ではなく、将来の業績です。この理論では、株価は将来キャッシュフローの現在価値を反映すると考えます。したがって、その企業の将来キャッシュフローを予想することが必要になります。将来キャッシュフローの予想のためには、企業の現在の実力を正しく把握しなければなりませんから、財務諸表等の企業情報や業界動向などを分析する必要が出てくるわけです。こうした分析をファンダメンタルズ分析といい、こうした形で形成される相場は業績相場といわれます。業績相場では企業業績が良くなれば株価は上がり、悪くなれば下がることになります。だから、株価は「企業実態(経済実態)を映す鏡」だといわれるのです。もし、本当に株価が常に企業実態を正しく反映しているとすれば、冒頭述べたような株価と企業実態との間の違和感は生じないはずです。
ところが、株価形成には金融相場というもう一つの考え方があります。株価は何だかんだ言っても所詮株式の値段です。とすれば、他の商品と同様に、株価も需給で決まると考えます。株式を買う人が多ければ株価は上がるし、売る人が多ければ下がります。企業業績が多少悪化しても株式市場全体に流入する資金が減らなければ、株価は維持できます。金融相場ではミクロの個別企業の実績より、マクロの金融市場の動向の方が株価の決定要因として大きいと考えます。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)