では、感染症流行を機に中小企業において具体的にどのようなデジタル化の取組みの変化がみられるのでしょうか。そこで中小企業庁編『中小企業白書2021年版』において感染症流行を機に SNSを活用したデジタルマーケティングに一層力を入れ顧客獲得に取組んだ事例として取上げられた有限会社渡辺酒造店(岐阜県)の取組みについてみていきましょう。

 有限会社渡辺酒造店は、清酒の製造・販売を行う企業です。同社では若い世代の日本酒離れなど国内の日本酒市場の頭打ちを受けて同社社長は2019年以降営業とマーケティングをデジタル化することを決断しました。

 まずはSNSでのマーケティングに注力し、インフルエンサーに商品を提供してインスタグラムに投稿してもらう取組みを開始するとともに。自社のフェイスブックやツイッターでの投稿頻度を上げ内容も充実させました。ITツールに疎い営業社員には業務時間内に学習時間を設定し、ITツール利活用のスキルの底上げを図りました。対面の営業機会は減りましたが営業の人員は削減せず、逆に動画制作スタッフを増員しました。

 コロナ禍を受けて、同社はデジタル化に一層注力することを決断しました。感染症流行の終息を祈願した日本酒を送料1,000円のみでネット販売したり、酒造作業のライブ配信や、豪州・米国・香港などをビデオ会議アプリでつないだオンライン酒蔵見学・ 試飲会を開催したりしました。さらに、インバウンド需要向けの超高級酒をツイッターでのプレゼントキャンペーンに転用し、キャンペーン開始前後でフォロワー数を大幅に増やしました。

 このようにデジタル化の推進によって感染症流行下のピンチをチャンスに変えることが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)