世界はカーボンニュートラルの達成に向け、CO2削減に取り組んでいます。その中、火力発電の燃料にアンモニアを用いてCO2排出量を削減しようという動きがあります。アンモニアは石炭と異なり燃やしてもCO2を排出しないことから、アンモニア火力発電が注目されるきっかけとなりました。
特筆すべきは、日本はアンモニア火力発電の分野において、他国にはない独自の技術を有していることです。世界的に、アンモニア火力発電が普及すると、技術面で先行している日本には新たな産業として勝機が訪れます。
具体的に日本が優れているのは高度な燃焼技術にあります。実のところ、アンモニアはCO2を排出しないものの、燃焼の条件によってはNOx(窒素酸化物)を排出します。窒素酸化物は自動車から排出される排気ガスの成分と同じで、大気汚染の原因になることはよく知られています。なかでも、二酸化窒素(NO2)は、気管や肺などに悪い影響を与え、ぜんそくなどの疾病につながるともいわれています。こうした窒素酸化物の問題があり、これまでアンモニア火力発電が注目されない要因になっていました。
窒素酸化物(NOx)の発生といった課題に対して、日本にはNOxを抑えながら安定して燃焼できるという、独自の技術があります。ただ、燃料の7割をアンモニアに、3割を石炭にした場合、窒素酸化物の排出を抑えられているのが現状で、今後は、アンモニアだけの発電でも窒素酸化物を排出しない技術の開発が望まれます。
コストや窒素酸化物の問題など、解決しなければならない課題はありますが、技術的に先行している日本にとって、アンモニア発電の成功は大きな利益をもたらすことになると考えられます。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)